12/22 月旅行と地底人の演奏会
ザムザで青葉市子さんの演奏を聴いた
初めてライブで聴いた
暗転し、ギターをもった青葉市子さんらしき人影が袖から現れ、マイクの前に腰掛けると、静かに映像が始まった。
映像が終わりエンドロールで、青葉さんの、知らない曲がエンディング曲
として始まった
エンドロールも終わって、スクリーンは「黒」だけが映されて、
照明も落ちたまま、演奏は続いて、5分くらい「黒」の光のまま、青葉さんの演奏している、黒いシルエットを感じる時間が流れた。
こんなに暗い中でライブを聴く事はあるだろうかと思った。
「ありがとうございます」
と小さい声がきこえて拍手がおこった
二曲目のチューニングがはじまる。いつもきいている曲だったので、
そのときよりいっそうライブの雰囲気に入っていけた気がした。
寝る時のナツメ球くらいの照明がついて、青葉さんがどっちを向いているのかぐらいはわかるような明るさになった
そのあと、全5曲くらいで演奏は終わった。
「光」が貴重な、地底人たちが、光を求める代わりに、
「音楽」を求めに来たような、そんな時間だった。
地底人になったみたいだった。
それか、真夜中に目が覚めてしまって、
家族はみんな寝ているし、町中みんなねているような時に、
豆球の下で一人、眠れない不安をただ感じていた時みたいだった。
だけど、そんな自分みたいに、たまたま起きてしまった人たちが同じ場所に大勢いて、
その人たちが聴いている、いつもの演奏を観に来たみたいだった。
目はあいていても、むしろ閉じていた方がその場をもっと感じられるような時間。
いつも夜空で大きく輝く月をめざして、月旅行に旅立った人たちがたどり着いた、
周りを闇が覆う世界
そこには自分しかいないような「不安」がたちこめていた
だけど、演奏と歌声に耳を傾け目を閉じると、安らかな気持ちで眠りにつくことができたのでした
おしまい